自然食と薬膳

自然食の原則
■身土不二 :しんどふじ
文明が今のように高度に進歩していなかった頃、人々は衣食住すべてに自然の恵みをそのまま受け止めて、天地人が一体の生活をしていました。食べ物は住んでいる土地で季節に収穫できるものを、塩と少しの発酵食品で調味して食べていました。
これが身土不二・しんどふじ・・・住んでいる土地で取れる旬の食材をいただけば間違いなく健康に生きられますよ・・・という基本的な教えです。

■一物全体:いちぶつぜんたい
私たちの命は、食べ物を体に取り込み、栄養して維持していますが、摂取する食物に農薬、収穫後の科学物質、流通の関係で部分に刻まれたものや、収穫後から時間がたったものなどの欠陥があれば取り込んだ体も生命力が低下し、さまざまな病気が発生します。

一物全体・いちぶつぜんたい・・・食べ物が生きている自然な状態にできるだけ近い形で摂取すれば・・・お米は発芽する力のある玄米、魚は骨や内臓全体が取れる小魚、野菜は根っこから葉まで丸ごと、全体・・・食材の栄養素は過不足無く体に取りこまれます。

私たちの命は、いただく直前まで生きていた生命力のあるもので繋いでいけるのです。
畑から採りたての野菜、海から水揚げされたばかりの魚介など食べ物の第一の消化は、口から取り込まれ、十分な咀嚼が行われてから内臓に送られます。

■よく噛むこと:一口30回~50回:病気直しは100回
完全な歯でよく噛むことが生きる力です。成人で32本の歯があります。
人の第一の消化器官である歯は、目的を持って形作られています。
穀物をすりつぶす臼歯は20本、肉や魚を噛み切る犬歯は4本、野菜や果物などを噛む門歯は8本です。
このように、歯の構造からみた食物のバランスは、穀物60%程度、野菜や果物など10~20%、残り10%以下が動物性の食物のための歯となります。

この食物の自然の配分が犯され、無理がかかり、食物が十分な咀嚼がされないまま内臓に送られれば,内臓は次第に疲れて栄養を十分に吸収できなくなり、生活習慣病をつくりだします。

■日本人の主食はお米
日本は温暖な亜熱帯気候で稲作に適していますから主食はお米です。(2015年の夏の猛暑が示すように、日本の気候は、熱帯化しているとの説が有力)
麦類は、北の地域で収穫される性質から、やや冷やす性質があります。しかも国内産の収穫量はお米に比較してかなり少ない量となります。

現代は、世界中でグルテンフリーが叫ばれています。品種改良や遺伝子組み換えなどで小麦の質が変化、小麦アレルギーが非常に増えています。
米粉のパンやスイーツ、パスタなどが主流になりつつある現代ですが、日本人の主食は気候風土からお米ですから、主食をお米に戻すことこそ、急務となっていると考えられます。

だだし、主食ばかりではなく、副食などの食物の配分、バランスを歯の構造を基にしたものにすることが重要となります。

■体が喜ぶ食事
現代人の多くが好む食事は柔らかく、簡単、短時間で食べられるもの…そして好きなものを多く食べ過ぎる傾向です。
健全に生まれた人体は、自然な食べ物で腹6~8分を守れば100~150歳くらいまで生きられるように設計されています。
健康な身体なら、健全な楽しい思い、ポジテイブな生き方が自然に歩きだします。

人はその食べ物のようになる・・・野菜多ければやさしくなり、肉多ければ憎らしくなるとか……。さて…後は、実行の方法でしょうか?
どうぞ、クッキングスタジオ FAMILY62にお越しになり、理想的な日常食(ベジな薬膳)を体験してください。

弱虫で病気の問屋だった私、ひどいアレルギーの二人の子供、胃潰瘍の夫、脳梗塞の姑・・・これらの障害を食を変えることで見事に乗り越えて、家族が生き生きしています。
スタジオの 生徒さんも体が喜ぶ食と楽しい会話で明るく前向きに変化しています。

かつて、20代で放送局でアナウンサーをしていた私にとって、料理研究家は大きな転身でしたが、今、この命がかかった現場の仕事に大きな生きがいを見出し、ライフワークとして日々食を見つめる暮らしを楽しんでいます。

■ベジの薬膳
(自然食、マクロビオテイック、薬膳を融合させたオリジナル)
☆主食からデザートまでサンプルメニュー

主食:ピーナッツおこわ

主食:ピーナッツおこわ

主食:冷麺風冷やしうどん

主食:冷麺風冷やしうどん

 

 

 

 

 

 

 

前菜:おつけもの 八宝漬け

前菜:おつけもの 八宝漬け

前菜:おつけもの キューリとなつめ

前菜:おつけもの キューリとなつめ

 

 

 

 

 

 

 

 

スープ:夏の薬膳スープ

スープ:夏の薬膳スープ

スープ:豆腐脳

スープ:豆腐脳

 

 

 

 

 

 

 

蓮根ボールの甘酢あんかけ

蓮根ボールの甘酢あんかけ

朝鮮人参の袋煮

主菜:朝鮮人参の袋煮

 

 

 

 

 

 

 

サラダ:蓮根と豆のサラダ

サラダ:蓮根と豆のサラダ

白木耳とハトムギのサラダ

サラダ:白木耳とハトムギのサラダ

 

 

 

 

 

 

 

デザート:小豆のタルト

デザート:小豆のタルト

デザート:南瓜とクルミの春巻き

デザート:南瓜とクルミの春巻き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マクロビオテイック~薬膳へ
■マクロビオテイック
自然食を始めてから4年ほどして、マクロビオティックのリマクッキングスクールに入りました。美しく凛とした桜沢里真先生に直接のご指導を受け、毎週、夢中になってかよいました。

東洋哲学の易を根本にした桜沢如一の食の哲学です。宇宙の総てを陰性と陽性に位置付ける明確な理論で徹底的な穀物菜食の食事により、宇宙に通じるような無限の精神力と自由で楽しい毎日が約束されるという「食養」です。

一切の動物食を排除して体と心がきれいになりました。食べ物で体を直すことができる「正食医学」も一年間かけて学びました。
発熱時には大根やしいたけ、青菜の枕でしのぎ、たいていの腫れ物は里芋パスターで簡単に直します。
咳には蓮根の搾り汁、芥子の湿布・・・など、食物の持つ偉大な力の可能性に興味を持ち、食べ物の薬効的な力をもっと知りたいと、薬膳に入りました。

■薬膳の基本は「陰陽説」と「五行説」
自然界の万物全てを陰と陽に置き換えて、自然界は、陰陽の対立と調和にしたがっている陰陽論、更に、自然万物の運行には五つの要素があり、それが助け合ったり抑制しあって推移していくという五行説は人が健康に生きていく上の判りやすく具体的な知恵で満ちています。

陰陽論は一般の方でもおおよその判断はできるでしょう。
実生活で役立つのは五行説です。自然万物の運行の中に木、火、土、金、水の五つ要素を見出してそれが互いに助け合ったり、抑制しあって推移して行くと言う古代中国の自然運動法則論です。
「木が燃えて火が生まれ、火から土になる。土の中から金属が生じ、金属のあるところから水が湧き出し、水が木を潤す。」というお互いが生かしあう関係の循環理論です。
又、この五つの要素が相手を抑える関係、相克説も重要で日常生活や体調、人間関係までの判断に役立ちます。

薬膳の調理に当たっては五味、五性を知ることが肝心です。酸、苦、甘、辛、塩の五味が五臓と密接な関係を持ち、調味で内臓を調整することができるのですから怖いことですし、すばらしい健康法です。
食物の温感は、寒、涼、平、温、熱の五性で表し、調理の際の食材の組み合わせに応用できます。

■食材の力を活かした薬膳
ただし、日本の気候風土の中では、完璧な薬膳ができない場面もあり、高価な生薬や乾物などの食材を用いる薬膳ではなく、一般の家庭のお台所やスーパーで入手できる食材を研究して季節や食べる人の体質に合った調理を進めて行きたいと考えて独自の薬膳をすすめてきました。
それを「食材の力を活かした薬膳」としています。

春夏秋冬、四季の循環の中で、気温、湿度、風、夏の暑、秋の燥、冬の寒などの影響を受けて人の体の中で起きている微妙な変化を観察、それに対応することが真の薬膳の調理でと考えています。
精神活動に集中しているのか(静)、スポーツや労働で肉体を酷使しているのか(動)、そのとき、その人が、もっとも必要としている食の環境は、寒熱、五味の何なのか・・・を把握して、日々自然の気の流れをキャッチしながら、食材に対する尽きない愛着を受講生の皆様と研究していきたいと念じている、薬膳的な日々を過ごしています。

■日本的な薬膳を提案
薬膳は中国の書物「黄帝内経:こうていだいけい」を始め「本草綱目:ほんぞうこうもく」、「傷寒論:しょうかんろん」などからの知恵が基本になっています。
他に、韓国や台湾でも、薬膳的な食や生活習慣を垣間見ることができます。

これまで、これらの国での現地研修はそろそろ40回にも及ぶと思われます。
「百聞は一見にしかず」と申します。そんな知識を基に、日本の気候風土に合致した食のスタイルを提案していきます。おいしい、体に効く薬膳にどうぞご期待ください。